原田君事と映画『八甲田山』 (2)

神戸生まれの神戸育ち、こんな大雪を目の前で見たのは初めてでした。

荷物を集合場所の公民館に降ろし、早めの昼食後、他の役者たちと共に雪道歩行に慣れるため雪中行軍遭難記念像まで行きましたが、こんなに凄い雪道を歩いたのは生まれて初めてです。

天気は良かったんですが、それでも深く積もった雪に膝上まで沈みながら歩くのは本当に大変でした。

雪中行軍遭難記念像は、雪の中に仮死状態で立っていた後藤房之助伍長の像で、映画では江藤伍長として描かれ、新克利さんが演じています。

「これは大変な仕事を引き受けた」と青森入り初日にして早くも、この仕事を取ってくれた小林八郎マネ-ジャ-を恨みました。

バスで撮影の本拠地となる青森市八甲田山中にある酸ヶ湯温泉の旅館へ入って、夜は旅館で出演者の初顔合わせがありました。

俳優とスタッフ併せて170名以上の撮影隊です。

初めて見る顔の中には東野英心さんなどの知っている顔もあって、若い連中同士で一杯飲みながら、合宿に来たような気分で楽しかったです。

東野英心さんはTBSの人気時代劇だった『水戸黄門』の初代水戸光圀(ご老公様=越後のちりめん問屋の隠居光右衛門)役として有名な東野英治郎さんの息子です。

入浴後「歩兵の隊員役で髪の毛の長い者は、頭を短く刈るように」と伝達があり、旅館の1階にメイキャップ係による臨時の床屋が開設されました。

軍帽と耳当て、その上に被るフ-ド付きの防寒外套で頭は何とか隠せるんで、強制ではありませんでしたが「そうだ、俺も坊主頭にしようと」決めて階下へ降りました。この咄嗟の選択が私の人生に大きな変化をもたらしてくれることに繋がりました。

人生とは面白いものですね!

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